東京と言えばどこの街を思い浮かべるか~思い出の地「神田」について~

田舎から上京してきた当初の私にとって、首都東京と向き合うことはとてもハードルの高いことだと思っていた。

段階を踏んで、都市空間になじんでいくならまだも、ある年齢を境に急激に街並みが変わる経験をするのは、人生の中でも衝撃的なことと感じている。

そもそも私は地元志向型で、東京はおろか、育った特定のエリアから外に出ることも、想像のつかなかったことであった。
ただ、社会の枠組みの生きていく上で、生活資金を稼ぐ名目で移住となっても、仕方がないという決断をしたのも私自身であるため、そこに後悔がないのもまた事実である。

ところで「東京と言えば」シリーズでも鉄板となっているのが、中心地はどこかという問いだと思う。
一般的な答えとして、大ターミナル駅を中心に構成される街が公表されるケースがほとんどであるし、私も人それぞれの考えがあって面白い内容だなと思っている。

ただこれが、「思い出深い、東京と言えばどこの街を思い浮かべるか」となると、人によって多少変化はあるはずだと思っている。

ちなみに私にとって、思い出深い東京の街は「神田」である。
上京当初にわずかな期間ではあるが、神田を拠点に仕事場との往復をしていたからだ。

いまでも神田にいくと、その時の思考が思い浮かぶ。
その1つに、当時は東京と言えば神田と言っているはずだという考えだ。
東京駅のお隣で、ビジネス街でもあるが、同時に下町の側面も持っている。
ああ、これが東京か・・・なんて、いまでも少なからず思っているが、これをだれかに話すと望んでもいないディベートを吹っ掛けられそうなので、「思い出深い」という前提条件を添えて、私の思い出を守ろうと思う。

首都東京と向き合うことで、厳しい状況に強いられることが多々あるが、ほんの少しだけでもホッとできる街や空間が増加しつつあるのは、ありがたいことであると思っている。
その原点は、私のとっては、神田である。ただそれだけのこと。
一旦、終わりです。

水垣 梓希